漆喰の歴史は古く、世界中で住まい作りの素材として使われてきた伝統的な左官材料です。主原料である自然由来の消石灰は空気中の二酸化炭素を取り込みながらゆっくりと石へと戻っていく性質を持っています。そのため、年月を経ていくたびに強さと風格を増していきます。
その美しさだけでなく、調湿性に優れ、ニオイの吸着や防火性という日常の生活空間に役立つ性能を持ち合わせていることも、多くの人に愛されている理由の一つです。
一方で、施工面では経験や技術が仕上がりに大きく影響することがあります。均一な美しい仕上がりのために、一枚一枚壁に向き合って手仕事を刻んでいくことになります。
今回は、古い壁材を剥離して、新たに“村樫の漆喰”で仕上げました。
温かい白が生える綺麗な和室に生まれ変わりました!
①写真のように古い壁は汚れがひどく、リフォームのため長押を撤去した後や、新規の石膏ボード面など下地が混在した状態でした。
② 漆喰に必要な平滑な下地を作るため、既存壁の剥離から中塗をとって整えていきます。
③中塗をしっかり乾燥させた後、漆喰を塗っていきます。水引具合を見ながら仕上げ鏝を当てていきます。
④ 完成
余談で、少し職人目線の話になりますが、漆喰にはいろんな種類があり、今回の材料は塩焼き製法を用いているので石灰の結晶がよく育っているというのが特徴です。これは強度だけの話ではなく、実際に職人が鏝で触った時の感触に影響するものです。
適度な大きさに成長した結晶は形が整い、水持ちの良さ、良い粘り、鏝圧のかかりやすさ、表面が締まりやすいなど、使いやすいと感じます。
そのため村樫ファンの職人は多いようです。
世界各地で使われている漆喰は奥深い魅力的な材料ですね。
洗い出しは、左官の伝統的な工法の一つです。セメントに種石となる砂利を混ぜてねり、効果と乾燥のタイミングを見計らって表面のセメント分を洗い流し砂利の頭を露出させていきます。それにより、石の自然な風合いや凸凹のある美しい質感が生まれてきます。
今回は、戸建て住宅の中庭とテラスそれぞれに既存のタイルの上から、下地作成をし、洗い出し仕上げを施工しました。

① 既存のタイルの状態を確認した後、カチオン系モルタル材を擦り強度と密着を確保します。
意匠性と作業性を考慮し、ステンレスの目地を設置しました。
②コンクリート打設の要領でレベルに合わせて敷いていきます。石同士の感覚を詰める意識でよく叩いて均していきます。その後、硬化具合と見て石の頭を揃えるイメージで一度押さえていきます。締まって乾き始めてきたところで表面を洗っていきます。
今回は水を流して洗えない環境のため、ブラシやスポンジでセメント分を拭っていきます。
葉山にて、新設ブロック塀への意匠仕上げを行いました。
景観に馴染む表情を目指した施工です。

ブロック積み完了後、
目地処理・不陸調整を行い下地を整えました。
仕上がりの質感は、下地精度で決まります。

ブロック面は吸水性が高いため、
シーラーを塗布し吸水調整を行います。
これにより急激な乾燥(ドライアウト)を防ぎ、
下地へのモルタル密着性を高めます。
また、クラック防止のため全面にグラスファイバーメッシュを伏せ込み、
耐久性を高めています。
見えなくなる工程ですが、
長く美観を保つために欠かせない作業です。

仕上げ材には
**アイカ工業**のジョリパット
エンシェントブリックを採用。
材料を塗り付けた後、円を描くように鏝を動かし、骨材の石を走らせて表情をつけていきます。
これにより素材感を引き出し、
落ち着きのある仕上げになります。
周りの建物や風景ともマッチした落ち着いた仕上がりになりました。
当初はモルタル調の塗装仕上げを予定していましたが、
オーナー様より「本物らしい質感を出したい」とのご要望をいただき、左官仕上げへ変更となりました。
素材の表情を活かすため、既製のマイクロセメント材は使用せず、
補修材として用いられる材料を応用し、独自の仕上げを行っています。
美容室という特性上、水や薬剤が付着する可能性があります。
最終工程では撥水材を塗布し、色あせや水染みを防止。
意匠性だけでなく、実用性も考慮しています。
石膏ボードのジョイント処理を丁寧に行い、
下地精度を確保。
塗装屋さんの綺麗な処理からのスタートとなりました。
カーボンファイバー入りの下地処理材を使用、
クラック対策と強度向上を図っています。


仕上げにはセメント系材料を用い、
コテの動きで質感を表現。
既成品にはない、
一点ものの表情に仕上げています。

空間全体の統一感を出すため、
土間にはコンクリートを打設。
左官ならではの奥行きある質感が、
空間全体の印象を引き締めています。
世田谷区某所で、老朽化が進んだ万年塀の再生改修工事を行いました。
コンクリートは中性化の進行と内部鉄筋の腐食により爆裂が発生し、鉄筋が露出している状態でした。
写真の通りかぶりコンクリートも大きく欠損して危険な状態です。


脆弱部を撤去した後、露出した鉄筋には防錆処理を行いました。
錆止め塗布に加え、無機系防水材を施工し、内部からの劣化進行を抑える対策を施しています。
見えなくなる部分だからこそ、丁寧な下地処理を心がけました。

形を既存の周囲となじむようコーナを通し、表面には補強用のグラスファイバーのネットを伏せ込みを整えたのち、仕上げを施工。
見た目の回復だけでなく、耐久性にも配慮した再生工事となりました。



着工前 O邸様外溝の塀
こちらの現場は外溝を残した状態で、
家の本体は完成していました。
既存の塀はこんな感じです。
家はとても「かわいらしい」デザインで、外溝の塀は新築した家に 合ったイメージで造っていただきたいという施主様からの希望でした。
施主様にイメージを聞くと「ポコッとした感じ」「ふわふわ、もっこり」というイメージで造って欲しいとのこと。
何度も話を聞いて自分の中でイメージを膨らませたのが完成写真です。
「これでいいのかな」と心配でしたが、お施主様は大変喜んでおられました。
フランス漆喰のデコ・プロヴァンスを施工しました。
【商材】デコ・プロヴァンス/Décors de Provence 商品情報/セニデコフランス合同会社 (senidecofrance.co.jp)
なかなか味わい深く、南フランスの部屋にいるかのようなオシャレな壁です。
プラスターボードに下地処理を行い、ペースト状のフランス漆喰をコテでテクスチャを
付けながら塗ります。
深みのあるアンティーク感は漆喰が乾燥した後、着色した蜜蝋ワックスをコテで
塗ることによって現れます。
ワックスを一度塗って、2度目には分散して塗ることにより、深みや味に変化が出てきます。
日本の漆喰とはかけ離れた質感ですが、原料は同じです。
面白いですね!